ぷるんとした食感にきな粉の香ばしさが合わさった、日本の夏の風物詩ともいえる「わらび餅」。冷たいお茶と一緒に食べるとなんとも涼しげで、ついつい何個でも食べてしまう、そんな魅力を持つ和菓子です。
しかし、わらび餅には見た目や味わいのほかにも、意外と知られていない面白い歴史や豆知識がたくさんあります。この記事では、わらび餅に関する面白い雑学をたっぷりとご紹介します。わらび餅がもっと好きになること間違いなしです。
わらび餅の原料は本当に「わらび」?
「わらび餅」という名前から、なんとなく植物のわらびを使っているのかな?と思う方も多いのではないでしょうか。実は、まさにその通りで、本来のわらび餅は「わらび粉」と呼ばれる、わらびの根から採れるデンプンで作られています。
わらびの根からデンプンを取り出すには非常に手間がかかります。大量の根をすり潰して、水にさらしてデンプンを分離するという、根気のいる作業です。わらび粉100%で作られたわらび餅は、透明感があり、やや灰色がかっていて、もちっとした独特の食感が楽しめます。
ただし、現在一般に市販されているわらび餅の多くは、サツマイモやタピオカなどから作られたデンプンで代用されており、本物のわらび粉は非常に高級品となっています。
わらび餅のルーツはなんと平安時代
わらび餅の起源はとても古く、平安時代までさかのぼるといわれています。当時は宮中や貴族の間で食べられていた高級な和菓子で、贈答品としても重宝されていました。
わらびの根から採れるデンプンは貴重だったため、一般庶民にはなかなか手が届かない贅沢品だったのです。茶道文化の広まりとともに和菓子が一般に普及していくなかで、わらび餅もより手に入りやすい形へと変化していきました。
現在では、夏になるとスーパーや和菓子店、さらにはコンビニでも気軽に買えるようになりましたが、かつては高貴なお菓子だったというのは驚きですよね。
きな粉と黒蜜の組み合わせが定番になった理由
わらび餅といえば、きな粉や黒蜜をたっぷりかけて食べるのが定番スタイルですが、なぜこの組み合わせが生まれたのでしょうか。
きな粉は、大豆を炒って粉にしたもので、香ばしい香りと自然な甘みが特徴です。古くから栄養価が高く、和菓子のトッピングとして親しまれてきました。きな粉は水分を含まないため、ぷるぷるのわらび餅との食感の対比が絶妙で、口の中でのバランスがとても良いのです。
さらに、黒蜜を加えることでコクと甘みが加わり、よりリッチな味わいになります。実はこの組み合わせ、江戸時代頃からすでに楽しまれていたそうです。日本人の味覚に合った、非常に計算されたペアリングといえるでしょう。
地域によって全く違う!?わらび餅の進化系
わらび餅は日本全国で食べられている和菓子ですが、実は地域によって少しずつ違いがあります。
例えば、関西地方ではわらび餅が屋台で販売されており、つまようじで刺して食べるスタイルが定番です。一方、九州では黒糖入りのわらび餅が人気で、より濃厚な味わいが楽しめます。
また、最近では「抹茶わらび餅」や「ほうじ茶わらび餅」など、風味を変えたアレンジ商品も登場しています。さらには、フルーツを練り込んだものや、洋風のクリームを包んだスイーツ感覚のわらび餅も人気です。
進化し続けるわらび餅は、和菓子の新たな可能性を切り開いているといっても過言ではありません。
実はダイエット向き?わらび餅のヘルシーな一面
わらび餅は甘いスイーツの仲間に入るものの、実は他のケーキやお団子と比べてカロリーが低めで、ダイエット中の方にもおすすめされることがあります。
その理由は、わらび餅の主成分がデンプンであること、そして油分を含まずに調理できることにあります。さらに、きな粉には植物性たんぱく質やイソフラボンが豊富に含まれており、女性に嬉しい栄養素がたっぷりです。
黒蜜は砂糖を煮詰めたものなので、かけすぎには注意が必要ですが、少量でもしっかりとした甘さを感じられるため、満足感が得やすいという点でも優秀なスイーツです。
海外でも注目されるわらび餅の魅力
最近では、わらび餅が海外でも注目を集めています。特にアジア圏では、日本の和菓子文化への関心が高まり、台湾や韓国では「わらび餅ティー」や「わらび餅ミルクティー」といったドリンクにアレンジされた商品も登場しています。
また、海外のヴィーガンやグルテンフリー志向の人々からも、わらび餅は「植物性・グルテンフリーのヘルシースイーツ」として人気を集めており、日本のお土産としても高い評価を得ています。
ぷるんとした見た目や、手に持ってプルプル揺れる様子がSNS映えするとして、海外でも「かわいいスイーツ」としてファンを増やしています。
わらび餅の手作りは意外と簡単?
実は、わらび餅は家庭でも簡単に作ることができます。市販のわらび餅粉を使えば、鍋とヘラさえあれば自宅でも本格的な食感が再現可能です。
わらび餅粉に水と砂糖を加えてよく混ぜ、弱火でじっくり加熱しながら練っていくだけで、透明感のある生地が完成します。冷やしてきな粉をまぶせば、オリジナルのわらび餅の出来上がりです。
お好みで抹茶やココア、黒ゴマなどを加えてアレンジするのも楽しく、お子様と一緒に作るおやつにもぴったりです。
まとめ
わらび餅は、日本の伝統的な和菓子でありながら、現代でも進化を続ける魅力的なスイーツです。高貴な歴史を持ちながらも、今では手軽に楽しめるようになり、健康志向や海外人気も高まるなど、ますます注目されています。
見た目の涼しさ、口に入れたときのぷるんとした食感、きな粉と黒蜜の絶妙な味わい――これらすべてが合わさって、わらび餅は多くの人を惹きつける存在であり続けているのです。
次にわらび餅を食べるときには、ぜひ今回紹介した雑学を思い出して、その奥深さを味わってみてください。


