トルコ発祥の肉料理として知られる「ケバブ」は、日本でもキッチンカーや屋台でおなじみのグルメです。その香ばしい匂いとスパイスの効いた味わいは、多くの人を虜にしています。しかし、ケバブには実は知られざる雑学や意外な歴史がたくさん詰まっているのをご存知でしょうか?
この記事では、ケバブの起源からバリエーション、文化的な背景、さらに驚きの食べ方や国ごとの違いまで、幅広く「ケバブに関する面白い雑学」をご紹介します。読み終わった後には、ケバブをもっと深く楽しめるようになるかもしれません。
ケバブの起源は戦場の兵士たちだった?
ケバブの歴史はとても古く、発祥は中東地域といわれています。特にトルコでは、「シシュケバブ」という串焼き料理として古くから親しまれてきました。
興味深いことに、ケバブのルーツは戦場にあるとされています。昔の兵士たちは、剣に肉を刺して焚き火で焼いて食べていたとされ、これが現在のケバブの起源になったともいわれています。火を使って肉を焼くというシンプルな調理法ですが、香辛料や技法の進化とともに、現在のような奥深い味わいのケバブが誕生しました。
ケバブとひとくちに言っても種類が豊富
「ケバブ」という言葉は、実は特定の料理名ではありません。中東や中央アジア、さらにはヨーロッパ各地にまで広がっており、その地域によって形や材料、調理法がまったく異なります。
例えば、トルコの「ドネルケバブ」は縦型の肉塊を回転させながら焼いてスライスするスタイルが有名です。一方で、イランには「チェロウ・ケバブ」というご飯と一緒に出されるケバブ料理があります。
また、インドではスパイスをたっぷり使った「シークケバブ」や「ティッカケバブ」が人気で、これらは鶏肉や羊肉を串に刺して炭火で焼いた料理です。このように、ケバブは地域ごとに姿を変える奥深い料理なのです。
ドネルケバブの「ドネル」は回転するという意味
屋台などでよく見かける、巨大な肉の塊が縦に回転しながら焼かれている「ドネルケバブ」。この「ドネル」という言葉は、トルコ語で「回る」「回転する」という意味を持っています。
実際に、この調理法は効率的で、表面を焼きながら内側はジューシーなまま保たれるため、味わいが濃厚になるのが特徴です。また、回転しながら焼かれることで余分な脂が落ち、ヘルシーな側面も持っています。
ちなみに、ヨーロッパでは「ドナーケバブ」や「ジャイロス」などと呼ばれることもあり、国や地域によって名称が変化しているのも面白いポイントです。
実はベジタリアン向けのケバブも存在する
ケバブと聞くと肉料理のイメージが強いですが、実はベジタリアン向けのケバブも存在します。たとえば、インドでは豆腐やパニール(インドのチーズ)を使ったケバブがよく見られます。
また、トルコや中東の一部では、ナスやズッキーニなどの野菜を使った「野菜ケバブ」もあります。香辛料でしっかりと味付けされているため、肉を使っていなくても満足感のある一品になります。
健康志向の高まりとともに、欧米ではプラントベースのフェイクミートを使ったケバブも登場しており、ヴィーガンでも楽しめるようになっているのです。
ケバブはファストフード界のグローバルスター
ケバブはその手軽さと味わいの良さから、世界中のファストフードシーンでも人気を集めています。ヨーロッパでは「夜の締め料理」としても定番で、特にドイツではトルコ移民が多いことから、ドネルケバブは国民食のような存在です。
驚くべきことに、ベルリンには数千軒のケバブ店があるとされ、マクドナルドやバーガーキング以上の人気を誇ると言われています。また、イギリスでもパブの帰りにケバブを食べるのが定番の流れになっており、「酔っ払いグルメ」としての地位も確立されています。
日本のケバブ屋台の始まりは1990年代
日本でもケバブは徐々に浸透してきており、特にイベントやフェスなどで屋台として出店されることが多くなりました。その始まりは1990年代の終わり頃。最初は在日トルコ人が運営する店舗が中心でした。
やがて日本人の間にも「ピタパンに挟まれたスパイシーな肉料理」として話題になり、東京・大阪などの大都市を中心に定着していきました。最近では、自宅でケバブ風の料理を楽しむ人も増えており、ネット通販などでも冷凍ケバブが購入できるようになっています。
ケバブに合う意外なドリンクとは?
ケバブと一緒に楽しむドリンクといえばビールが定番かもしれませんが、トルコでは「アイラン」というヨーグルトドリンクがポピュラーです。塩味が効いたさっぱりした味わいで、スパイスの効いたケバブとの相性は抜群です。
また、インドでは「ラッシー」がよく一緒に飲まれており、これもヨーグルトをベースにしたドリンクです。口の中の辛味を和らげ、まろやかな後味を楽しむことができます。
ケバブの語源にまつわる驚きの説
ケバブの語源はアラビア語の「kabāb(カバーブ)」に由来しており、「焼く」「あぶる」という意味を持っています。さらにさかのぼると、アッカド語や古代ペルシャ語にも類似した言葉があり、非常に古いルーツを持っていることがわかります。
一部の説では、ケバブは元々「焼いた肉全般」を指す言葉で、現在のような串焼きやドネルスタイルは後の時代に発展した形だともいわれています。
まとめ
ケバブはただの肉料理ではなく、深い歴史と多様性に満ちたグローバルな料理です。起源や種類、調理法、文化的背景までを知ることで、いつものケバブがより味わい深く感じられるようになるはずです。
次にケバブを食べるときは、その背後にある物語や豆知識も思い出しながら味わってみてはいかがでしょうか?一口のケバブの中に、数千年の歴史が詰まっていると考えると、ちょっとワクワクしてきますね。