私たちの腸内には、100兆個以上の細菌が住みついており、それぞれが異なる働きをしています。これらの腸内細菌のバランスが、肥満や健康に大きな影響を与えることが分かってきました。特に「太りやすい腸内細菌」と「痩せやすい腸内細菌」の存在が注目されています。本記事では、それらの違いと腸内環境を整える方法について解説します。
太る腸内細菌とは?

「太る腸内細菌」は、主にフィルミクテス門(Firmicutes)に属する細菌が多く関与していると考えられています。これらの最近は、食事からエネルギーを効率的に吸収する働きを持ち、特に糖質や脂質の分解を助けます。その結果、同じ食事をしていても、エネルギー吸収量が増え、余ったエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。
太る腸内細菌の特徴
1.エネルギー吸収を促進
食事からのカロリーを効率的に吸収し、脂肪として蓄積しやすくする
2.炎症を引き起こす
腸内の慢性炎症を引き起こし、インスリン抵抗性を高めることで脂肪の燃焼を妨げる
3.短鎖脂肪酸のバランスを崩す
短鎖脂肪酸(酪酸・プロピオン酸・酢酸)のうち、特に酢酸が多くなると、食欲を増進しやすくなる
フィルミクテス門の細菌は、肉類や高脂肪食、糖質の多い食事を好む傾向があります。そのため、これらを多く摂取すると、腸内のフィルミクテス門の割合が増え、太りやすい体質になってしまう可能性があります。
痩せる腸内細菌とは?

一方で、「痩せる腸内細菌」は主にバクテロイデス門(Bacteroidetes)に属する細菌が多く含まれます。バクテロイデス門の細菌は、食物繊維を発酵させて短鎖脂肪酸を産生し、脂肪の蓄積を抑えたり、エネルギー消費を増やしたりする働きを持っています。
痩せる腸内細菌の特徴
1.エネルギー吸収を抑える
腸内でのカロリー吸収を抑制し、脂肪の蓄積を防ぐ
2.脂肪の燃焼を促進
短鎖脂肪酸(特に酪酸)が腸内環境を整え、脂肪燃焼をサポートする
3.食欲を抑える
腸内細菌が満腹ホルモン(GLP-1など)の分泌を促し、過食を防ぐ
バクテロイデス門の細菌は、野菜・果物・発酵食品・全粒穀物などの食物繊維が豊富な食事を好みます。そのため、食物繊維を意識的に摂ることで、痩せる腸内細菌を増やしやすくなります。
腸内環境を整えるポイント
1.食物繊維をしっかり摂る
野菜、果物、豆類、全粒穀物などに含まれる食物繊維は、痩せる腸内細菌(バクテロイデス門)のエサになります。特に水溶性食物繊維(オートミール、海藻、アボカドなど)は短鎖脂肪酸の産生を助け、脂肪の燃焼を促します。
2.発酵食品を取り入れる
ヨーグルト、納豆、キムチ、ぬか漬けなどの発酵食品は、腸内の善玉菌を増やし、腸内細菌を整えます。特に乳酸菌やビフィズス菌は、痩せる腸内細菌の活動をサポートします。
3.加工食品や糖質を控える
加工食品や砂糖の多い食事は、バクテロイデス門を増やし、太りやすい体質を作る原因になります。精製された小麦製品や揚げ物などの摂取は控えめにしましょう。
4.適度な運動をする
運動は腸内細菌の多様性を高め、バクテロイデス門を増やす効果があると言われています。特にウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、腸内環境の改善に役立ちます。
5.ストレスを減らす
ストレスは腸内細菌のバランスを崩し、太りやすい環境を作ります。リラックスする時間を持ち、十分な睡眠を確保することが重要です。
まとめ
太る腸内細菌(フェルミクテス門)と痩せる腸内細菌(バクテロイデス門)は、それぞれ食事や生活習慣によって増減します。食物繊維を多く含む食事を意識し、発酵食品を摂ることで、痩せる腸内細菌を増やし、健康的な体づくりが可能になります。腸内環境を整えることは、単にダイエットのためだけでなく、全身の健康にもつながるため、日々の食生活を見直してみましょう。
あなたの腸内細菌はどちらが優勢ですか?今日から腸内環境を整える生活を始めてみませんか?